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セロひきのゴーシュ

[][絵本いろいろ]
セロひきのゴーシュ 絵本
宮沢賢治 著
茂田井 武 画

ご存知宮沢賢治の名作、絵本ヴァージョンです。

「セロひきのゴーシュ」は賢治の全ての作品の中で最も起承転結がはっきりしていて、屈たくがなく、その主人公と動物たちのあいだの度重なる交渉がすきとおってわかり、素朴で不思議でとぼけた感情がそのままリズムをもって伝わってくるものですから、仮に主人公の不退転の精進が大自然の意志に感応するという 少々むずかしいテーマがわからなくても、かなり小さな子にまで楽しまれ記憶されるところが多いのではないでしょうか....(中略)

画家の茂田井 武さんも宮沢賢治と色々な似通いが見られます。 早熟自生の芸術家でありながら、多くの職業にわたってついに心象の詩とその表現を失わず、30歳を過ぎてからその芸術を深化させ、大成を待たずに夭折したという外側の運命です。そしてその芸術が、すこぶる空想に富み、求道的でまじめで深くありながら、その表現は素朴で率直でユーモラスである点まで、まことによく似ています。
(中略)
頼まれればいやといえないこの画家は、零細なカットやコマ絵にも全身的に応じたくせに、我が家の愛児たちに与えた画帳のたぐいは、一種のはにかみのために 筐底にひめて、そのためにあれほどみごとな一枚絵を子どもの雑誌に飾ったわりに、単行の絵本がきわめて少ないのです。

その中にあって、この「セロひきのゴーシュ」は、画家の死去する前年に実った、最も味わい深い収穫となりました。同質の詩人の空想を、肺患と喘息とたたかう画家のいのちが掘りあてたように、力強く具現しました。にぎる手、ふむ足、思いつめた顔、とぼけたしぐさ、夜の田園、貧しい小屋、観衆たち....
その一場面一場面はどうでしょう。30年を夢とへだてて、同じ波長の、ことなる名器の合奏が成就したように、私たちは、今はない2人の共感を、このまれな絵本という形で感ずることができるのです。(本書あとがきより)
   
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セロひきのゴーシュ 絵本いろいろ
セロひきのゴーシュ
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