聖なる夜
セルマ・ラーゲルレーヴ(文)
イロン・ヴィークランド(絵)
うらた あつこ(訳)
....おばあちゃんはお話がおわると、私の頭に手をおいて、「これ、わたしにお前が見え、おまえにわたしが見えるのと同じように、本当のことなのだ
よ」と口ぐせのようにいいました......
『ニルスのふしぎな旅』の作者、セルマ、ラーゲルレーヴ自身が子どものとき、大好きなおばあちゃんから聞いたクリスマスのお話。
女性発のノーベル文学賞受賞者が送る、聖なる夜の物語。
クリスマスの夜、おばあちゃんは
幼い孫むすめに話しはじめます。
「むかし、ひとりの男の人がいました。
ある暗い夜、男の人は火をもらいに
外へ出ていきました。・・・・」
この物語は、セルマ・ラーゲルレーヴ自身が
子どものころ、大好きだったおばあちゃんから
実際に聞いたお話です。
作家としてデビューしたラーゲルレーヴは、
『キリスト伝説集』をまとめる際に
この話を思い出し、ひとつの物語として
誕生させたのでした。
最愛のおばあちゃんが亡くなり、
40年という長い年月を経てもなお、
色あせることなく、ラーゲルレーヴの心に
しっかりと刻まれていたクリスマスのお話。
厳しきもこころあたたまる世界を、
挿絵画家イロン・ヴィークランドは
しみじみとした美しい絵で表現しています。
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