人間生活の運命を形成するカルマ（ルドルフ・シュタイナー講演集［カルマ的関連の秘教的考察］）

ルドルフ・シュタイナー（著）
浅田 豊（訳・解説）
ブレスラウにおける9回の講演（1924.6.7-15）
「人生が私たちにもたらしてくれた深化、私たちの魂をより深めてくれたものの内のどれほどが、私たちの悩みと私たちの苦しみに帰されるものであるかと、自分に尋ねてみましょう。そのとき何が本当に、魂の中に入ってこられるのでしょうか？この疑問に対して私たちは、知性から答えてはいけないのです・・・。
私は人生において起きた出来事すべてに対して感謝しなければなりません。私は、私の人生の大きなあるいは小さな苦しみと喜びによって現在の自分になったのですから、私は人生に対してただ感謝するばかりです。この感謝の念、それはまた超感覚的なものに向かう道であり、それは最後には畏敬の念と、生命を恵んでくれる人間の霊への愛にたどり着くのです。感謝の念は愛を生み出すのです。」（本文より）

「人間本性の深い衝動の中には、以前の地上性にあったものが、別の形をとって再び蘇生してくるのです。
もし人がカルマの作用というような事柄に、真剣に向かっていこうとするときには、すでに地上の体験を魂的・霊的に、通常行われているよりも、もっと内的に繊細に形成する必要があるのです。
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霊的・魂的な存在としての人間が地上の生活に下りてきて、物質体を地上における自らの活動の道具として受け取り、・・・地上で働くことができるために、自らをいわば物質体に変容させる瞬間。それは地上の生活の始まり、つまり誕生と受胎です。
もう一つの瞬間は、人間が死の扉を超えて霊的な世界に帰っていくことによって、人間が地上の生活から抜け出していく瞬間です。
・・・人間の生活にはこの二つの異なる「瞬間」が働き込んでくるのです。
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カルマが存在しているという気持ち、感情に近づいていくためには、何らかの見霊的な洞察を持っていることはまったく必要ではないのです。

お前自身を認識しようと思ったら、
宇宙の広がりの中に目を向けよ。
宇宙の広がりを見抜きたければ、
お前自身の中に目を向けよ。」（本文より）

1924年6月の聖霊降臨祭の時期に、ブレスラウで行われた「9回のカルマ論講演」、そしてオイリュトミー公演は、近郊のコーベルヴィッツで催された「農業講座」とともに、すべてが一体となり、アントロポゾフィーの「祝祭」として構成されている。

[目次]

• 訳者による序文
  
• 講演１　6月7日（土）
  死の瞬間と誕生の瞬間／人間の思考生活／人生の運命的な計画／人類の原教師たち／シュトラーダーの死後の体験
  
• 講演２　6月8日（聖霊降臨祭の日曜日）
  月の領域と水星の領域／金星の領域と太陽の領域／物質的な星は矛盾／人生の体験と惑星領域の秘密／個々の人間のカルマを読む
  
• 講演３　6月9日（月）
  私の心臓は私の太陽／人間は常に脱皮する／霊界と物質世界の仲介／歴史は人間によってつくられる --- ハイネ／ヴォルテール／ゲーテとエリファス・レヴィ
  
• 講演４　6月10日（火）
  土星領域のはたらき／キリスト教初期の時代の受肉とフリードリヒ・シラー／秘儀参入者たちの転生／エルンスト・ヘッケルと教皇グレゴリウス／ヒベルニアの秘儀とヴィクトル・ユーゴー
  
• 講演５　6月11日（水）
  カルマを予感する感情と人間の出会い／出会いと夢／同時代人のカルマ／霊においてはすべてが個体的／幾何学の先生とバイロン／パラディオン／ガリバルディ
  
• 講演６　6月12日（木）
  感覚印象と感情、そして意志／記憶／人間の発達において観察される霊の働き／現代の若者の憧れ／自己愛と無私の愛／ハールーン・アッラシードと彼の助言者／イスラーム教の抽象性とムアーウィア
  
• 講演７　6月13日（金）
  影のような記憶／人生に対する感謝の気持ち／地上の自我を作りあげる私たちの運命／体験をイマギナツィオーンに変容する／シュタイナーの二人の先生／宇宙的なキリスト体験の消失
  
• 講演８　6月14日（土）
  入眠と覚醒の状況／睡眠中の二つの流れ／カルマから見た睡眠の意義／カルマから見た病気と死／カルマから見た治療の観点
  
• 講演９　6月15日（日）
  人間の道徳的な行為の成果／人間の三つのシステムと高次のヒエラルキア／過去のカルマと将来のカルマ／ペスタロッチの過去の生活／東洋人の見方
  
• 訳者による解説
  コーベルヴィッツ・ブレスラウにおけるアントロポゾフィーの祝祭
  
• おわりに

寸法：横 約14.8cm×縦 約21cm×厚み 約17mm
224ページ
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