いかにして人が高い世を知るにいたるか
[本]
ルドルフ シュタイナー(著)
鈴木一博(訳)
シュタイナー4大著書の一つが鈴木一博氏の訳で新たに出版されました。
(シュタイナーを知る仲間内では「いか超」(「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか」を省略して)と呼ばれている本です)
言語造形家の訳した本ですので、言葉や文章を細やかに選んで翻訳していると思われます。
最初に以下のように書いてあります。
「訳について
一、この訳はほぼ逐語訳です。原書はおおむね平易な語が使われ、文が簡素に構えられ、文と文のかかわりが見通しのきくように組み立てられています。そのような叙述のスタイルに応じるには、逐語訳も有効な一手かと考えます。
二、原文では句にしても語にしても、たんなる言い換えがきかないほどに、それとしてものをいっています。そこから訳者は句のなりたち、語のつくりの主立つものを註によって、いくらかでも引き立てようとしています。
三、ことに原語の動詞には、できるだけシンプルな語を宛てようとしています。その動詞の動は、どの人にも馴染みのある動きであるか、どの人もしている動き(アクティビティ)であり、訳者にとっては、それをそのまま意識することが、親しさと確かさのうちに次なる一歩への促しとなってきました。
四、そして漢字には、こまめにカナを付しています。まさに訓むことから、なにかがはじまるようにです。」
読みやすいか読みにくいかは好みの部分もありますので、個人的に好きな部分を抜き取って比べてみます。
●「神秘学徒がなんらかの目標に達しようとするなら、決して犯すことが許されないような、ひとつの根本命題がすべての神秘学の中に生き続けている。どのような秘密の行に際しても、修行者の心に銘記されていなければならないこの根本命題は以下の言葉に要約される。
「あなたの求めているどんな認識内容も、あなたの知的財産を蓄積するためのものなら、それはあなたをすすむべき道からそらせる。しかしあなたの求める認識内容が人格を高貴にし世界を進化させるためのものであるなら、それは成熟への途上であなたを一歩前進させる」。この原則は厳格に遵守されねばならない。そして誰もこの原則を人生の規範にする以前には、神秘学徒であり得ない。われわれは霊的修行のこの真の在り方を、次のような短い命題に総括することもできる。「如何なる理念も理想たりえぬ限りは魂の力を殺す。しかし如何なる理念も理想たりうる限りはすべてあなたの中に生命を生み出す」。」(絶版になったイザラ書房「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか」P33より引用)
●「およそ密やかな知識においては、なにかを目指して得ようとするに際して見過ごしてはならない、ひとつの原則がある。密やかな学びは、いずれの学びであれ、きっと、それを学ぶ人に印す。それはこういう原則である。すなわち、あなたがただあなたの知識を富ますため、ただ富を内に貯えるためだけに求める知は、どの知であれ、あなたをあなたの道から逸らすが、あなたが人を気高くするということと世が繰り出すということの道のうえで、なおさら熟すために求める知は、どの知であれ、あなたを一歩先へと進ませる。その掟を見ることは、なんとしても欠かせないことである。その掟をみずからの生の指針としない人は、まだ密やかに学ぶ人ではない。その精神の学びのまことは、短い文にまとめることができる。すなわち、あなたにとって理想とならない理念は、どの理念であれ、あなたのこころにおいてひとつの力を殺ぐが、あなたにとって理想となる理念は、どの理念であれ、あなたのうちに生きる力を生み出す。」(本書P34より引用)
読み比べてみると面白いかもしれません。一度読んだことのある人も、もう一度、違う訳で読むと新たな気付きがあるかもしれません。
また、シュタイナーがプファイファーに語ったことを引用します。
「このエネルギーとエーテル体化についての話の一つで、シュタイナーが私に言ったのは、「もし、聖ヨハネ福音書の冒頭について瞑想し、『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』を研究し心に留めておけば、すべてのこの問題を解決し、新たに目覚め、自分自身の中に人智学のすべてを創造することができるだろう。そうすれば、私の他の講義を読む必要さえなくなるだろう。」」(植物と人間の生理学における下位自然と超自然P22より引用。)
本の大きさ:横 約12.5cm×縦 約19cm×厚み 約1.8cm
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