黒板絵 シュタイナー・メソッド
マルグリット・ユーネマン(著)
井藤 元(訳) / 小木曽由佳(訳)
「まだ低学年の子どもにとって、世界の事物は、野の草花も、葉を揺らすそよ風も、道で拾ったどんぐりも、箪笥にしまった靴下も、部屋の白い壁も、全てが生きていて、自分と同じように感じる心と体をもった存在です。ぶつかれば顔をしかめるし、笑えばコロコロ転がるし、あったかいと気持ちがいいし、雨の日はなんだか悲しいし....。
だから、文字や数字のような記号も、細い線で書いた「字」ではなくて、「体(Leib)」を持った具象的な姿で出会えたら、子どもは自分に身近な存在として、すぐに仲良くなることができます。絵の形式で伝えられることで、文字も数字もいのちを吹き込まれ、体温をもった個体として現れ出ます。黒板の上にカラフルな色彩を帯びて描き出される「黒板絵」は、通常の「絵」や「絵画」という言葉に想起される詩的なものではなく、今にも動きだしそうな、いや、とっくの昔から生き生きと動いている血の通ったものとして、それを見る子どもの心に確かな像を結ぶのです。(中略)
本書は、シュタイナー学校の教員養成課程の芸術部門に長年関わってこられたマルグリット・ユーネマンさんが、「黒板絵」に焦点をあてて丁寧に解説した類まれなテキストを邦訳したものです。シュタイナー教育に関心のある方だけでなく、幼い頃に黒板で学んだことのある全ての方に、この本は向けられています。ページを繰るうちに、読者ご自身の心と体の中で、カラフルな像たちが躍動を始めるきっかけになれたら、訳者としてそれに勝る喜びはありません」(P8〜P9「訳者まえがき」より)
【目次】
- 訳者まえがき
- はじめに
- 1. 学童期の子どもが求めるもの
- 2. 黒板絵に大切なこと
- 3. チョークの扱い方
- 4. 配置やバランスによる色彩の効果
- 5. 数や文字の綴り方
- 6. 文字 --- 母音と子音
- 7. 人物 --- 静と動
- 8. 動物 --- 生息と住処
- 9. 植物 --- 天と地をつなぐもの
- 10. 地図 --- 水と陸
- おわりに
- 訳者あとがき
マルグリット・ユーネマン(Margrit Junemann)
1920年生。1947年から1980年までシュトゥットガルトとウルムのシュタイナー学校で教え、1973年からシュトゥットガルトのヴァルドルフ教育セミナーで講師をつとめた。著書に『シュタイナー学校の芸術教育 --- 6歳から18歳までの美術の授業を中心に』(鈴木一博訳、晩成書房、1988年)、『フォルメン線描−シュタイナー学校での実践と背景』(森章吾訳、筑摩書房、1994年)などがある。
井藤 元(いとう・げん)
1980年生。京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。現在、東京理科大学教育支援機構教職教育センター准教授。『シュタイナー「自由」への遍歴』(京都大学学術出版会、2012年)、『マンガでやさしくわかるシュタイナー教育』(日本能率協会マネジメントセンター、2019年)、『シュタイナー学校の道徳教育』(イザラ書房、2021年)、『笑育』(監修、毎日新聞出版、2018年)、『記者トレ』(監修、日本能率協会マネジメントセンター、2020年)、『ワークで学ぶ教育学 増補改訂版』(編著、ナカニシヤ出版、2020年)、『ワークで学ぶ道徳教育 増補改訂版』(編著、ナカニシヤ出版、2020年)、N・ノディングズ『人生の意味を問う教室』(共訳、春風社、2020年)他。
小木曽由佳(おぎそ・ゆか)
1983年生。京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。公認心理師、臨床心士。現在、同志社大学ウェルビーイング研究センター研究員。『ユングとジェイムズ』(創元社、2014年)、Jungian Perspectives on Indeterminate States: Betwixt and Between Borders (Co-authored, Routledge, 2020)、訳書にE・パティス・ゾーヤ『危機介入の箱庭療法』(創元社、2018年)、J・ハリファックス『死にゆく人と共にあること』(共訳、春秋社、2015年)、C・G・ユング『分析心理学セミナー1925』(共訳、創元社、2019年)、N・ノディングズ『人生の意味を問う教室』(共訳、春風社、2020年)、W・ギーゲリッヒ『ユングの神経症概念』(共訳、創元社、2021年)他。
寸法:横 約18.8cm×縦 約21.7cm×厚み 約15mm
104ページ
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黒板絵 シュタイナー・メソッド
3,080円(税込)