シュタイナー教育入門III 14歳から21歳までの思春期の成長
鳥山雅代 (著)
子どもたちが楽しく学ぶ様子やノートの写真も満載の、とても美しい本です。
この本は、『シュタイナー教育入門I 0歳から9歳までの子どもの成長と12感覚器』、『シュタイナー教育入門II 9歳から14歳までの子どもの成長と気質・メディア』に続く、シュタイナー教育入門3部作の完結編です。
子どもは14歳で大きな転換期と言える思春期を迎え、「内面の世界」が誕生します。それから7年間の青少年の成長がこの本のテーマです。
この時期に彼らの中で誕生した内面で、美しい花が咲きます。それは思考の花であり、能力の花でありと、かけがえのない個性の花です。
ふさわしい時期にふさわしい栄養を与えることを目指すシュタイナー教育では、これらの個性の花が青少年の人生の中で大きく開花していくために、どんな取り組みをしているのでしょうか?
この本が、中学生から高校生、そして大学生、成人になるまでの青少年を持つ親や教育者の皆さんの大きな支えとなることを願います。
【目次】
- はじめに
- 第1章 0歳から14歳までの子どもの成長
- 0歳から7歳 ---「安心できる世界に包まれて」
初めの3年間/3歳から6歳/幼児から就学期への移行
- 7歳から14歳 ---「尊敬する先生に導かれて」
7歳から8歳:幼児期の余韻が鳴り響く中で/9歳:内なる目覚め/10歳:大地が故郷になる/11歳:心と体に訪れる調和/12歳:内面に向かった変化/13歳:目に見えないエネルギーに包まれて/14歳から思春期、そして青年期へ
- 0歳から7歳 ---「安心できる世界に包まれて」
- 第2章 14歳:内面の誕生
- 人間学から見た身体と心の成長
アストラル体の誕生/「性的成熟期」と「地上成熟期」/身体に及ぶ変化/心の変化/男子生徒に現れる現象/女子生徒に現れる現象/男子生徒と女子生徒への異なった教育的対応/性的マイノリティー/性的マイノリティーと教育者の対応
- 14歳の成長を支えるシュタイナー学校のカリキュラム
数学/地理学/解剖学(骨学)
- 14歳の成長を支える家庭での取り組み
話し合いと徹底性/子どもを最後までサポート/家族は良きサポーター/「がんばればできるよ」と励ます/幼い頃の我が子のイメージを引きずらない/昔はかわいかったのに……/生まれ変わった我が子を理解する/彼らの言葉に耳を傾ける---子どもに感心できますか?
- 14歳のまとめ --- 不安定な彼らの内面を理解する
- 〈コラム〉なぜシュタイナー学校では1年生から8年生まで同じ担任なの?
- 人間学から見た身体と心の成長
- 第3章 15歳:対立する自分と世界
- 人間学から見た身体と心の成長
天にも昇る歓喜から、絶望のどん底へ/コンプレックスの塊/「成長する自分」に気づく/潜在的な問い/白か黒で大人を裁き、大人を見抜く/理想を求めて
- 〈コラム〉人間の4つの構成要素
15歳を導く教育者の課題/自我とは何か?/15歳はグリム童話の「眠り姫」?
- 15歳の成長を支えるシュタイナー学校のカリキュラム
数学から可能性を知る/文学のバイオグラフィー:偉大な人物の人生記に取り組む/地学で学ぶ自分の感情/物理における思考の取り組み/美術史で感性を育む/農業実習:仕事をする意思
- 15歳の成長を支える家庭での取り組み
やりたくないことはやらず、やりたいことだけしたい/片づけるまで漫画は読まないって自分で言ったよね?/グループを作って群れになる子ども/親子の摩擦が起こったら---謝る美徳/アイドル(推し)を求める/その格好で出かけるの?/なぜ親にユーモアが必要なの?/外から自分自身を観察できますか?/お母さん、僕を見つめてよ/How are you?/静かな痛みを理解する
- 15歳のまとめ --- 激しい火山活動のように
- 人間学から見た身体と心の成長
- 第4章 16歳:世界の中で自分の立ち位置を探す
- 人間学から見た身体と心の成長
感情の力が自立/判断能力とは?/自分の立ち位置/知識から認識へ/周りの世界に対する確かな興味を目覚めさせる/権力と性欲/自分ばかりに興味を向ける若者/花のつぼみが開く時期/なぜか?を考える喜び/教師の「隠れた失敗」/明確な説明が判断形成の手助けをする/男子生徒と女子生徒/孤独---自分の中から自分が生まれる
- 16歳の成長を支えるシュタイナー学校のカリキュラム
授業の中での判断形成/測量実習/地学/文学/古代史/美術史
- 16歳の成長を支える家庭での取り組み
ディスカッションを求める若者たち/一人を求める16歳/様々な危険と隣り合わせ/親はどのように関わるか?/「文句」を「問い」に変える
- 16歳のまとめ --- 「私の中から私が生まれる」
- 人間学から見た身体と心の成長
- 第5章 17歳:内面への旅
- 人間学から見た身体と心の成長
「生きる意味」を探す/自己中心的になる
- パルチヴァール物語から見る、17歳の内面で起きていること
パルチヴァール物語とは/17歳は白黒のカササギ/自分の中に起こる戦い---白と黒の狭間で/過ちを犯す/人間は間違う存在である/負の自分と付き合っていく/どのように改善していくか?/自己判断の真骨頂---自分で正しいと判断したら?/誰でも17歳はパルチヴァール/新しい興味や見方に目覚める/自分の目標が見えてくる/自分の中のセンスを磨く
- 17歳の成長を支えるシュタイナー学校のカリキュラム
音楽史/生物と天文学---ミクロコスモスとマクロコスモスのつながり/電磁場---抽象的思考の発展/射影幾何学---無限大の誘い/個の確立の中で無限大の世界が現れる
- 17歳の成長を支える家庭での取り組み
洗面所を独り占め/好きな人と全てを分かち合いたい/親はどのように関わっていくのか?/「お母さん、若いときどんな悩みがあったの?」/大人にも客観性を要求したい
- 17歳のまとめ --- インナートリップ(内面への旅)
- 人間学から見た身体と心の成長
- 第6章 18歳:自分と世界の共生に向けて
- 人間学から見た身体と心の成長
最上学年という頂上に立つ/知識から認識へ/個としての自分の思考を確立する/自我の誕生が近づく中で---男女の違い/友情---心的つながりから精神的つながりへ/自由への扉の前で---進路選択/月の交点
- 18歳の成長を支えるシュタイナー学校のカリキュラム
●ゲーテの「ファウスト」:求めるものは迷う/メフィストの役割/悪の本当の役目とは?/人間とは何か?/●生物---進化論:化石人類と進化の過程/多種多様な学びの中で、人間をすぐに特化させない/800万年前から人類は直立二足歩行をしていた!/地理---地球市民へと広がる意識/物理---仮説と矛盾/演劇、オイリュトミー公演---舞台芸術の真髄/研究発表/卒業芸術旅行
- 18歳の成長を支える家庭での取り組み
卒業間近の我が子とどう距離をとる?/我が子をどのようにサポートする?/親が行う次の準備とは?/学校時代を批判的に振り返る/家庭で行う「過去の清算」
- 18歳のまとめ:自立した判断力と共に
- 人間学から見た身体と心の成長
- 第7章 19歳:自由な今、どこで何ができるのか?
- 新しいスタート台で悩む若者/19歳は充電期間/ユーゲントゼミナール/卒業後にできること/何もしたくない若者たち/世界との架け橋の欠落/なぜ自分の殻から出られない?/どうやって引きこもりを乗り越えるか---?シュタイナー教育からの提案
- 19歳のまとめ ---「19歳にとって人生とは?」
- 新しいスタート台で悩む若者/19歳は充電期間/ユーゲントゼミナール/卒業後にできること/何もしたくない若者たち/世界との架け橋の欠落/なぜ自分の殻から出られない?/どうやって引きこもりを乗り越えるか---?シュタイナー教育からの提案
- 第8章 20歳:自我の陣痛期
- 晴れ着とは裏腹に/不安定な状態/混沌とした日々/あふれるエネルギーの中で/親に迷惑をかけたくない/「本当の学び」を求めて/相手の気持ちになって行動できる人間を目指して/創られながら創ること/深く自分の内面を見つめる/ありのままの自分を表現したい/自分はどこまでやれるのか/自分自身をコントロールしたい
- 20歳のまとめ:自分をどのように表現できるか?
- 晴れ着とは裏腹に/不安定な状態/混沌とした日々/あふれるエネルギーの中で/親に迷惑をかけたくない/「本当の学び」を求めて/相手の気持ちになって行動できる人間を目指して/創られながら創ること/深く自分の内面を見つめる/ありのままの自分を表現したい/自分はどこまでやれるのか/自分自身をコントロールしたい
- 第9章 21歳:自我の誕生
- 自分で学びたい/自分で思考する力/失敗を恐れない---ある卒業生の話/挫折した経験が教えてくれたこと/誰もが必ず失敗する/そのままの自分でいい/相手との関係のつくり方/仲間となら何でもできる/一番情熱的で官能的な時期/自由になった自我が、再び拘束される?/自分を早く固定し束縛しない/学問の矛盾と妥協/自我の「三つ子の魂百まで」/土台をつくらなかったら?/自己教育への道のり
- 21歳のまとめ:トライ&エラーを繰り返す
終わりは始まり
- 自分で学びたい/自分で思考する力/失敗を恐れない---ある卒業生の話/挫折した経験が教えてくれたこと/誰もが必ず失敗する/そのままの自分でいい/相手との関係のつくり方/仲間となら何でもできる/一番情熱的で官能的な時期/自由になった自我が、再び拘束される?/自分を早く固定し束縛しない/学問の矛盾と妥協/自我の「三つ子の魂百まで」/土台をつくらなかったら?/自己教育への道のり
- 第10章 若きゲーテから学ぶこと
- ゲーテのバイオグラフィーとシュタイナー教育
幼少時代/ライプツィヒ時代(16歳から19歳)/静養時代(20歳)/ストラスプール時代(21歳)/ゲーテの内面で起きたこと:ライプツィヒ時代とストラスブール時代の比較
- まとめ:自分自身に命じたとき、自由になる
- ゲーテのバイオグラフィーとシュタイナー教育
- 第11章 デジタルメディアとシュタイナー教育(高等部編)
- スマホを使うと意志が弱くなる?/スマホストレス/ロンドン大学の実験から/幸福な人生を歩みたいのなら?/SNSで全世界の人々とつながる?/SNSはポップコーン?/ナルシスト症候群/ジョブズは知っていた
- 高等部でのデジタルメディアの学び
- 親の果たすべき役割とは
親も意識してメディアと取り組む/デジタルメディアと人間の成長
- スマホを使うと意志が弱くなる?/スマホストレス/ロンドン大学の実験から/幸福な人生を歩みたいのなら?/SNSで全世界の人々とつながる?/SNSはポップコーン?/ナルシスト症候群/ジョブズは知っていた
- 終章 14歳から21歳の展望台:「真実の自分、真実の世界と向き合う」
- インナートリップの終わり
- 特別編 思春期の子どもを育てる親の人生学
- 40代は精神が目覚める時期/本質的なものとそうでないものを見分ける/シュタイナーから見た「社会が健全に発展していく道」/物質的な欲望に身を任せる危険性/自分のドグマに気づかない/40代は「魂の戦場」/自分の課題から目を背けていると?/変容とは?/更年期は燃焼期/なぜ若者と同じように振る舞うのか?/精神の花が咲く50代に向けて/40代と10代の衝突?/遅咲きの反抗期/我が子の気持ちが分からない/対話の大切さ/我が子は自分の良き教師/新しくスタートする親子の関係
- 終わりに
- 主要参考文献
229ページ
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