認知症 ―シュタイナーの精神科学にもとづく― アントロポゾフィー医学の治療と介護の現場から
[本][健康・医学・治癒教育]
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ヤン-ピーター ファン デル シュティーン(著)石井秀治(訳)
高齢者医療に携わる医師である著者が、認知症の主要な型、認知症のリスク、要因と原因、認知症の検査と診断について、また一般的な医療とそれを補完するものとしてのアントロポゾフィー医療の可能性と、認知症患者たちへのその治療と介護の仕方について、多くの例を挙げながら詳しく解説。また本書は、多くの場合、気づかれずにいる彼らの潜在的な能力に光を当てることによって将来に対する全く新しい見方を示しています。
「認知症を抱えることになってしまったとしても、私たちの人間的成長はそこで終わってしまうわけではけっしてありません。認知症のせいでこどばの世界・思考の世界が失われてしまったとしても、私たちは、だからこそ再び新たに開かれる、かつての豊かな感情と意志の世界の内へ<迎え入れられる>ことになるのです。まさに私たちはそこでこそ −新たな人生へと通ずる死の扉を押す前に− さらに新たに成長していくことができるのです」(本書の背表紙より)
[目次]
- はじめに
認知症:時代精神を映し出す像
認知症:自律性と≪自我≫の喪失に対する不安
人生最後の段階における予期せぬ成長
<考える>を学ぶ
思考力を手放す
- 病状の進行段階
もの忘れ外来
画像検査
家族会議
おびえている自我、混乱している自我、沈み込んでいる自我
現実見当識訓練とヴァリデーション
認知症患者との接し方 ― 継続的なかかわり
- 診断
アルツハイマー病
身体的診察
検査
患者の関係者からの病歴聴取
まとめ
アルツハイマー病の中核症状
このような問題とどう取り組んでいくことができるか?
前頭側頭型認知症(ピック病)
まとめ
ピック病の中核症状
補足的な診断法
病気の経過
血管性認知症
衰えた運動機能
≪まるであっと言う間のことだった≫
比較的よい記憶力
神経心理学的検査
まとめ
血管性認知症の中核症状
原因
レビー小体型認知症
訪問
≪そこには座らないで、そこには犬が座っているの!≫
幻覚 ― 初めてではなく
こわばった筋肉
変動する経過
まとめ
レビー小体型認知症の中核症状
せん妄とレビー小体型認知症
要約:認知症の四つの病型
アルツハイマー病
前頭側頭型認知症
血管性認知症
レビー小体型認知症
- 検査
観察
身体的診察
時計描画テスト
ミニメンタルステート検査(MMSE)
前頭葉機能検査(FAB)
- 認知症を引き起こす原因
脳:生命力の弱い器官
血管系の老化:動脈硬
脳組織の老化:アミロイドβ
脳組織の老化:タウ蛋白質
アロイス・アルツハイマーとアルツハイマー病の発見
ハイコ・ブラークとエヴァ・ブラークの研究
いわゆる修道女研究
言語表現の豊かさと映像的表象の豊かさ
要約
- 現代医学の治療メソッド
一般的な治療方法
降圧剤
予防薬
アセチルコリン・エステラーゼ阻害薬
受容体ブロッカー
- 海馬と記銘(記憶の刻印)
直接記憶と間接記憶
健忘症
H.M.の物語
いわゆる猿の研究
胎生期の海馬
海馬と脈絡叢の密接な関係
空洞形成と魂
ストレスとトラウマは海馬を収縮させる
コルサコフ症候群
- 記憶の三つの相
ローカル記憶
リズム記憶
抽象記憶
≪何で今度は変えるんですか?≫
認知症患者はかつての記憶相へ後戻りする
記憶の種類
- 臨死体験と臓器記憶
臨死体験
臨床的な死と、それでもなお存在する記憶
臨死体験の定義
≪臨床的な死≫とは意識が存在しなくなるということなのか?
脳の死
臓器記憶
夢
臓器提供者を探して
知覚から記憶へ
- 脳下垂体と松果体
松果体と脳下垂体の胎生的発達
松果体の胎生的原基
脳下垂体の胎生的原基
脳下垂体:原腸と神経系との出合い
魂の道具としてのホルモン
要約
メラトニンによる松果体の再発見
動物の松果体
人間の松果体
メラトニンの作用
血圧と心臓へのメラトニンの影響
体内時計
洞窟実験
松果体と性的成熟
メラトニン血中濃度の影響
要約
- アントロポゾフィーの観点から見た記銘プロセス
人間存在の四つの構成要素
鉱物界
植物界
動物界
人間
魂を育てるための働きかけ
まず掴(つか)んで、そして理解する
自我の道具としてのことば
教育と文化の影響による魂の育ち
自我の導きによる魂の教育:感覚魂
自我の導きによる魂の教育:感情魂
自我の導きによる魂の教育:意識魂
要約
記憶形成:一般的な見解
記憶形成:アントロポゾフィーの見解
間脳
生命体の解放と独立
松果体と脳下垂体:感覚印象と思考を臓器記憶に定着させるために必要な二つの器官
残像
眼は光を≪消化する≫
霊的なものはあらゆる光景あらゆる音とともに私たちの内へ流れ込む
世界記憶
世界記憶へとつづく道
要約
- 補完する医学としてのアントロポゾフィー医学
患者か病気か?
現代医学と補完的医学との≪コミュニケーション障害≫
根拠にもとづく医療(EBM)
病気はどこから始まるのか?
現代医学と、病気の原因に関する問い
アントロポゾフィー医学と、病気の原因に関する問い
ホメオパシーは<問いかけ>を意味する
情報と、情報の担い手
自然生命の謎の探索
生物発光の研究
要約
- 老化プロセスに関する新たな観点
デメテル原理:純粋な生産性
この物語の背後に隠されている原像は?
歳を重ねていくこと:エロス人間からデメテル人間へ
老いていくということ、それはエーテル体の解放を意味する
誕生前
誕生後の成長 ― 身体の建築家としてのエーテル体
解放されていくエーテル体は子どもの就学能力を呼び起こす
就学期から思春期へ
人生の後半:エーテル体は新しい物事に≪教えられる≫
新しい身体の形成
- アントロポゾフィー医学における認知症治療
認知症:脳のなかの一種の痛風
存在構成要素それぞれへの自然界の働きかけ
第一基本原理
第二基本原理
アカヤマアリ(Formica rufa)
惑星と金属と臓器の結びつき
銀
老年病治療薬
アントロポゾフィーの老年病治療薬
スクレロン? ― アントロポゾフィーの老年病治療薬
治療に関する黄金律のアルツハイマー病への適用
病気のプロセスをとらえる
溶解
排泄
傷つきやすい脳
治療
生命体を強めるためのトレーニング
トレーニング1:知覚を判断に結びつけないようにし、映像を記憶の内で息づかせる
トレーニング2:意識的記銘
トレーニング3:しっかりした記憶力を身につける
トレーニング4:内示的記憶に介入する
トレーニングの適用
- 在宅介護では≪もうやっていけなくなった≫ときは
診断はできるだけ早く
親族に対する助成
いわゆるコーチング(coaching)の必要性
タブー・テーマとしての認知症
介護施設への転居
認知症患者のための住居共同体
問題行動
認知症患者の行動は、すべてコミュニケーション活動の試みである
建築形態
文化的行事
居住者を孤立させない仕組み ― 世界をどのように迎え入れることができるか?
介護
- 認知症患者に見られる行動障害
この章のはじめに
ひとつの像
この像の解釈:ひとつの身体である、ひとつの身体を持っている
身体にではなく意志の力に驚嘆する
シュタイナー婦人との会話
せん妄
せん妄:認知症の前兆
治療手段
予防措置
≪はがれ落ちていく記憶≫
行動障害に対する≪最初の援助手段≫としての≪生活ノート≫
新たな可能性
うつ病
三つのD
うつ病の二つのかたち
治療
自死の危険
精神病あるいは関連喪失?
関連喪失:もはや内的世界は外的世界とのつながりを見出せない
これからどうなるんだろう?
誤りを正さず、ヴァリデーションする
不安 ― スーパーマーケットでの約束
不安は自我の相対化機能不全からもたらされる
リヒァルトのバイオグラフィー
治療
- その他の治療手段
芸術療法
C婦人は再び絵を描き始める
A婦人の緊張を解くために
治療オイリュトミー
K婦人 ― 再び<生活>に触れ始める
介護と、身体外部からの治療的働きかけ
- おわりに
解放されていく生命体
認知症は新たなチャンスを差し出す
記憶は脳にではなく身体全体に蓄えられる
私の個人的な所見
自由度
成長の可能性
他者との接触
最後に:ユーモア
付録
認知症検査
認知症の段階(ライスバーグ・スケール)
原註
Literatur
Adressen
[著者プロフィール]
ヤンピーター ファン デル シュティーン(Jan-Pieter van der Steen)
オランダ・アルツハイマー協会理事。主に社会精神医学と高齢医学に携わっている一般医です。オランダのアッセンに居住し、主として認知症患者と精神疾患を持つ高齢者の治療を行なっています。
大きさ:横 約180mm×縦 約256mm×厚さ約14mm
256ページ
本書は、出版社に在庫がなく現在絶版状態となっております(再版される可能性はないとは言えないですが、再版予定は現時点でない状況)。本品は、出版社に返本があったものです。退色・すり切れ・曲がり・汚れなどが多少ありますが中古ではありません。
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