フォルメン線描Formenzecichnen こどもに対してEMDR施行時眼球運動の効果を上げる手法

[本][健康・医学・治癒教育]

本書の在庫はなくなりましたが「トラウマからの解放　フォルメン線描とイメージ呼吸」が出版されました。

神経科クリニック子どもの園
田中麗香、真木みどり、田上洋子（著）

神経科クリニック子どもの園で　PTSDに苦しむ子どもさんに　フォルメン線描を用いて　良い効果が見られた時の症例集。

「行動療法は種々あるが、こどものEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)を用いたので報告する。
2009年から当院ではPTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)、強迫性障害のこどもに対しEMDRを行ってきた。その際、幼児や性的虐待を受けた思春期のこどもに外的体験の想起過程を強いることが出来ず、眼球運動と呼吸法を教えた。眼球運動が十分にできない患者に対して他施設で種々試みがなされているが当院ではフォルメン線描（シュタイナー教育より）を用いた。結果良好な成績を得られたので報告する。
症例は95例。病名はPSTD 50例、強迫神経症14例、その他20例。
年齢構成は10歳未満11例、10歳代52例、20歳代以上32例、中断例は11例であった。その内の代表的な症例を5例あげる。」（P5「はじめに」より）

「当院のEMDRは幼児、混乱した患児に合わせて、眼球運動の補助としてフォルメン線描を用い、外傷体験想起を省き、幼児でもできるイメージ呼吸を使い、MREMB(Mental Release by Eye Movement and Breathing)に進化した。これを著者らは2014年に精神科診療所協会総会、2017年に茨城精神医学集談会で発表し、2016年にEMDRの変法としてのMREMBを報告しその有効性を発表した。今回は特にフォルメン線描についてより詳しく報告する。」（P6「EMDRからMREMBへ」より）

「フォルメン線描はシュタイナー教育の一環としてドイツのルドルフ・シュタイナーにより編み出された。シュタイナーは「1年生の最初の授業に、直線と曲線の勉強をするように助言している」その主な意味づけは、「子どもたちが、それぞれのフォルムを心の中で感じ、体験し、目で見て、自分のからだを動かし、実際に描いていく。また色とりどりの光輝くフォルメンを、エポックノートや紙の上に描くことによって内面的な体験をも得ることができる。こうしてジグザグや緩やかな曲線の印象を感じることによって、こどもの感情が動き、意思や感情、思考力が営まれ、自分の心がフォルメン線描と一つになること」そこには「内的な器官感情がなんらかのかたちで表現されると思うのです（1920年の講演より）」と述べているところにシュタイナーの理念がみられる。
この線描をよりシンプルに直線から波線、そして点から花への線描が小菅昌子により工夫され『A Line Drawing The Time』として出版された。こども園では、この2点を参照しながら、MREMBへと応用した。」（P7「フォルメン線描の歴史とシュタイナー」より）

日記もご覧ください。

[目次]

はじめに
I　EMDRからMREMBへ
II　フォルメン線描の歴史とシュタイナー教育の理念
III　フォルメン線描の実際
IV　フォルメン線描を使うMREMBの手順
V　色の持つ心的意味と実際
VI　症例
症例1　O・N　男児　小学3年生　PTSD

友達の交通事故死を目撃後、その道を通れない。不安発作、強迫行為が出現。

症例2　F・N　女児　小学6年生　心因反応

父の浮気を友達に目撃され、不安発作、円形脱毛、抜毛行為が出たケース。

症例3　S・Y　女性　　46才　遷延するうつ状態

ネグレクトによるうつ状態から抜け出せなかったケース

症例4　M・E・S　男児　小学1年生　PTSD

洪水に被災し、家族が泥水に浸かって、6時間救助を待ったケース。夜間不眠。雨、水が怖い。雨が降ると、家の中でも椅子に上がって降りることができない。

症例5　M・I　女児　小学5年生　強迫神経症

きっかけもなく「死」という言葉が頭から離れず、恐怖、不安、不眠を示した。
考察
結語